鮎原こずえに恋をした
制作発表があったとき、小さい頃に「アタックNO.1」をアニメで見て、主人公の鮎原こずえに淡い恋心を抱いていたことを思い出した。それゆえ、実写化とキャスティングには不安があった。 いまどきスポ根・魔球ドラマなんか、まして実写ドラマなんてリアリティが感じられないだろう。それに鮎原こずえ役が上戸彩?嫌いではないが、イメージが違う気がする。バレーのアタッカー役としても、上背が足りないのではないか? しかし第1回の放送をたまたま見て、いっぺんで引き込まれてしまった。懐かしい主題歌がリメイクされて流れるタイトルバックからして、予想外にかっこいい。しかしそれ以上に予想外だったのは、第3話以降の展開だった。 これは熱血スポ根ドラマではないことに気がついた。脇役・敵役が素晴らしく魅力的に描き込まれている。そう、それは私がスポーツ漫画の最高峰と認める「スラムダンク」に見られる手法であった。 特に三条の描かれ方、その心境の変化と人間としての成長が見事であった。ほかにも大友のけなげさ、ゴリ(真理)の苦悩など、何度も泣かされる場面があった。 ある掲示板では凄まじくけなされていたドラマだが、設定にリアリティがないだの、試合の場面が少ないだのと文句を言うのはたやすいこと。じゃあ実際にバレーの選手を集めてキャスティングしたところで、短期間で良い演技はできないし、華もないだろう。テレビドラマという制約を考えれば、目をつぶらなければならないこともある。 確かに最終回近くでいきなり魔球が出てきたり、短期間に怪我が治ってしまうという展開には苦笑ものだが、リアリティがないというだけですべてを否定する必要はない。むしろ人間ドラマとしては秀逸だったと思う。 惜しむらくは、このドラマが夜9時に放送されたことだ。もっと若い人向けに、8時台で良かったのではないかと思う。 それにしても、鮎原こずえ役の上戸彩は見事だった。懸念していたミスキャスト感をあっという間に払拭し、まっすぐでひたむきな鮎原を見事に演じきった。何十年の時を超えて、またしても鮎原こずえに恋心を抱いてしまった。 windrain |